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2006年7月 9日 (日)

刑務所ライフ

行き着く先は・・・

Kakogawa_005 12月24日 クリスマスイブ

Hは

懲役同士のケンカで

懲罰房に入っていた・・・

シャバから

殺人事件の取調べで

兵庫県警がHに面会に来ていた・・・

Hは関与していない事件だったが

シャバで関わっていた組織の者達が侵した犯行で

その手がかりをつかむ為の聞き込み捜査だった・・・

冬の懲罰はきつい、

布団に入るまで一日中冷蔵庫の中に居るようなものだ・・・

「どうや、懲罰房より取調室の方がええやろ!」

まさかにもHの口から出ることは無い事件だったが、

手がかりをつかむことが出来ず

山深いこのような刑務所にまで

取調べに来ていた・・・

翌、12月25日 クリスマス

その日も取り調べに来た・・・

それは

Hの反応を見ての受け答えで

Hが何処まで事件との関わりをもっているか!?

殺人刑事独特の嗅覚で進めていく捜査方法で

任意同行でも出頭するはずのない件に

刑務所の懲罰房では

何処にも逃げる場所は無く

兵庫県警殺人課の刑事が泊り込みで来て

帰っていった・・・

「満期出所やったのー!  出てからも話があるけんのー・・・」

と、捨て台詞を残して・・・

3ヵ月後、

出所した!

門の外には誰も迎えに来ている様子も無く、

出所後、即 兵庫県警に拘束されることも無く、

だが地元に戻れば簡単に目を付けられてしまう・・・

Hは

大阪の西成区に

十分の間、身を潜めることにしていた。

Hが西成区にある天王寺公園に付いた頃、

もう日は落ちていた・・・

ここへ来るのは20年ぶりになる・・・

子供の頃

やはり札付きのワルで

親が大阪の親戚のヤクザの一家に預けて修行さそうとしたとき以来

24~5年ぶりにここへ来たが・・・

随分綺麗になった!

夜、人通りがある!

少年の頃ここへ来たときには

ただのだだっ広い野原だった。

そこへダンボールが

三角形に

あっちこっちに立っている?

中を覗くと人が寝ていた!?

通称「あんこ」と呼ばれる家を持たない人達

いわゆる ホームレスがそこを根城にして

夜は

変なオカマや、追いはぎが出没し

一般の人が通れるような地域じゃなかった。

が、

今も何処かそういった臭いが漂っている・・・

Hはここから名物通りのジャンジャン街を通り抜け

この街にとけていった・・・

oh.にしなり!西成!にしなり!

10070001 夕暮れ時の西成

職安あたりは

仕事を終え家路に着く者・・・

次の日の仕事を求め 職安へ足を運ぶ者・・・

建築関係の業者・・・

職安の裏手に立ち並ぶ

通称泥棒市・・・(何処から持ってきたか分からないような物が、露天の店先に平気で並んでいる所からそう呼ばれている。)

一箱150円のタバコ・・・

期限の切れたコンビニ弁当、パン、ケーキ100円セット・・・

バイアグラや睡眠薬等の薬事法違反にかかる物・・・

家具、衣料、バッグ、時計、メガネ、宝石等等・・・

ありとあらゆる物がそこでまかなえる、

新世界と呼ばれる、活気のある場所だ!

一度そこにつかると抜け出られなくなると言うが・・・

何処かの土地を追われて来た者や・・・

今までの人生をリタイヤした者・・・

ヤクザ・・・

ポン中・・・

売人・・・

潜入捜査官・・・

アンダーグラウンドから来た者が

ひしめいている街。・・・

それが西成だ・・・!

街を歩いていると

色んな人から声をかけられる・・・

「兄ちゃん、ええ仕事あるでー!」とか

「ええモンあるでー!」と言う、売人らしき男・・・

後日、Hもそうなるとは思わなかったのか・・・

刑務所から出たばかりの

開放された気分で・・・

観光客宜しく、物珍しそうに

西成の街をフラフラ漂っていた・・・

教会の前を

その日、職にありつけなかった者・・・

飯を食えなかった者が・・・

行列をつくって

無料のパンをもらうのを待っている。

その前を通りかかったときHは

建築業者の者に声をかけられた、

「兄ちゃん、こっちやこっち・・・」

初対面の人間だが、向こうは古い友人にでも会ったかのように

親しそうに話しかけてくる。

「飯、食うたかァ?」

「オイ、お前、兄ちゃんに弁当買ォて来たれ!」

と、部下の者に金を渡す・・・

もちろんこっちは初対面だ!

「車に乗り!」と・・・

関西弁で・・・

ハイエースのボンゴに詰め込まれてしまった・・・

全て、身に覚えの無い事ばかりだが

その一連の流れがここでは

皆が知っている一連の流れなのだ!

まだ建設業の者に声をかけられるのは運がいい。

明日の食事と宿を確保したようなものだからだ!

「10日ほど仕事しぃ!」

作業着屋に連れて行かれる・・・

一揃いの作業着と、タオルを買い

弁当を受け取り、それに箸をつければ

契約書にサインしたも同じだ・・・

神戸の三田の山の中の飯場まで連れて行かれた・・・

誰も住んでいないようなところだ!

見渡す限り山々山・・・

難攻不落!

脱出不能!

ここは日本のアルカトラスか!?

10日間の夜勤の仕事をさせられた。

「兄ちゃん、また来たってや・・・」

の一言と、

10日分の給料を受け取り

西成に帰ることにした・・・

  売人ブルース

Zen1411 深夜の西成を歩いていると

路地の隅々に男が2~3人で立っている・・・

(路上で薬の売買が行われている)

そこを通りかかると

  「兄ちゃん、あるでぇ!」 

と、声をかけて来る・・・

一体何があるのか・・・?

付いていくと・・・

ビルに入っていく・・・

関西でも有名なビルの、1F~最上階まで

各シャブ屋の組織が

貸しきって商売をしている・・・

1Fは何々組、

2Fは何処何処組、

と言うふうに、

シャブ屋の各組織が

しのぎを削っている・・・

路地にもショバ代が課せられ

駅前のような人通りが多い場所では

1日15万のシャバ代を払わなければならない。

ま、それをカバーできるだけの

売り上げがある訳だが、

大口の客・・・

小口の客・・・

サラリーマン風の客・・・

ミュージシャン風の客・・・

西成のあんこ・・・

等等・・・

兵庫、大阪、和歌山、京都、奈良、三重、

関西圏の様々な層が

そこへ

シャブを求めてやって来る・・・

何も知らず

H もそこを通りかかる・・・

線路横の路地の暗がりに

男が2~3人溜まっていた・・・

その中の一人に

「兄ちゃん、いらんか?」

 と、声をかけられた・・・

 H もピンとこず!?

その男の目を、覗き込んだ・・・

 H の態度に嫌悪を感じたのか、男は睨み返してきた・・・

 Hは「何のことや!?」

 男は「もうええワイ。」

と、言い残し ・・・

H から離れようとしたが

H も街角に点在する2~3人のグループのことが気になっていて

H の「オイ、ちょっと待て・・・」の一言に

何事かと!?

路地裏の奥から男達が出てきた・・・

「お前なんや? 因縁付けにきとるんか?」

 

H 「声かけて来たのは、そっちからだろ?」

その話の間をぬって男達の一人が

「H チャン!」

と、H の名前を呼んできた。

その男をよく見ると、

以前、高知刑務所で一緒だった

通称 みなチャン だった。

 H、「みなチャン!?」

彼とは20代の頃、高知刑務所で同じ工場に務めていた。

いわば同じ釜の飯を食った仲間で

話を聞くと・・・

西成で長く売人として生き

その界隈では有名人らしかった。

その後 H も、みなチャンの口利きで

そこで一緒に働くことになるとは

思っても見ないことだったが・・・

みなチャンとは違う場所で、全く知らないメンバーと組む事になる・・・

客は千差万別だ!

風俗嬢・・・

「今日、和歌山刑務所を出てきました!」

と言う女・・・

西成のあんこ・・・

真っ白のプレジデントに乗り

手に100万束を握り 「これで売ってくれるか?」 と言ってくる、

いかにも世間知らずのボンボンふうの男・・・

偽札を持ってくる奴・・・

「シャブ出せ!!!」と凄んで来るギャング・・・

「男と別れ帰るところが無い・・・」と言い寄ってくる女・・・

等々、様々だが・・・

売人の稼ぎは、

古い者になると

一晩に10万以上稼ぐ者もいれば。

入りたての者では一晩2~3万の稼ぎがほとんどだ。

中には、売人同士が客の取り合いのために

警察にチンコロすることもありの世界だ!

 H が行かされた場所でも

実際に、

仲間同士の僻みがあり、

一人であまり稼ぎのいい者は

次々にパクられていった・・・

大口の客をつかんでいる売人など

直ぐにターゲットとして上げられる・・・

売人は消えても、客は帰ってくるので

次は自分のところへ儲けが転がり込んでくる。

と言った寸法だ・・・

そんな中 H は、

そこの親分と出身が同じ!

と言う事で、

事務所へ上がる事になる・・・

刑務所で一緒だった みなチャンの口利きでここへ入り。

そこの親分に認められ

事務所へと上がり・・・

とんとん拍子の出世といった所だが・・・

おとり捜査官が入ったのか・・・

周りが次々とパクられていき・・・

このままでは・・・

パクられるのも時間の問題・・・

と、

名古屋へ飛ぶ・・・

当時名古屋は

愛知万博の建設に急ピッチで、

猫の手も借りたいくらいの勢いだった。

「今思えば、西成は横のつながりの強い街だった・・・」と、一言

 H はつぶやく・・・

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